【転載】太陽電池普及のカギは補助金? それとも環境意識? [ 2008/12/02 20:25 ]

日本を追い抜き、ドイツがダントツ1位に

太陽電池とは、身の回りのさまざまな電子機器に使われている「半導体」を利用して、太陽の持つエネルギーを直接電気に変える装置である。光から電気への変換は直接的かつ瞬間的に行われるため、光が当たっているときしか発電できない。その代わり、他の発電方法のように蒸気や化学反応、回転運動を必要としないため、燃料を使わず、排気ガスもなく、燃えかすなどの廃棄物もまったくないという特徴を持つ。なお、「太陽電池」という名前で呼ばれているが、私たちが日常使っている乾電池などと違って蓄電する機能はない。



 太陽電池の発電の仕組みは、太陽から降り注ぐエネルギーを電気エネルギーに変換するのに、半導体に光が入射すると電流が流れる「光電変換効果」と呼ばれる現象を利用する。このときの変換効率の理論限界値は約30%と言われる(ただし、太陽電池の種類により差がある)。現在市販されている家庭用太陽電池の変換効率は、10〜12%程度が主流だが、年々、効率改善が進んでいる。なお、太陽電池の原理について詳しく知りたい方は、独立行政法人産業技術総合研究所のホームページを参照されたい 。現状では、1家庭あたりの太陽電池の平均的な普及容量は3〜4kW程度だ。第1回「 本命は太陽光よりも太陽熱!? 温水器は潜在能力を生かせるか 」でも解説したように、地上に届く太陽のエネルギーは1m2あたり1kWなので、変換効率が10%だと仮定すると、30〜40m2の太陽電池パネルが設置されていることになるわけだ。

 太陽電池は、地球温暖化防止対策のうちエネルギー供給システム側の対策の大きな柱として期待されている。その導入量は、数年前まではわが国が圧倒的と言っていいほど世界をリードしていたが、ドイツが急速に追い上げ、追い越し、2007年までに、わが国の2倍以上の太陽電池が設置されるに至った。

トップを走り続けてきた日本がドイツに追い越され、発電量で2倍も引き離された要因には、両国の政策の差がある(出所:IEA Photovoltaic Power Systems Programme「Survey report of selected IEA countries between 1992 and 2007」を基に住環境計画研究所が作成)
■世界の太陽電池発電量の半分を占めるドイツ
トップを走り続けてきた日本がドイツに追い越され、発電量で2倍も引き離された要因には、両国の政策の差がある(出所:IEA Photovoltaic Power Systems Programme「Survey report of selected IEA countries between 1992 and 2007」を基に住環境計画研究所が作成)


ドイツで急速に普及が進んだのは、太陽電池の余剰発電電力を一般の電力料金の3倍近い高値で発電事業者が買い取るという「固定価格買い取り制度(Feed in Tariff)」をドイツ政府が導入したためだと言われている。ちなみにわが国の場合は、消費者の購入価格で発電事業者が買い取る制度となっている。

 2007年時点での全世界の太陽電池の導入量は総計780万kWにのぼるが、ドイツはその約半分を占め386万kWに達する。わが国はさらにその半分の192万kW、次いで米国が83万kW、スペインが65.5万kWと続く。



補助金打ち切りで国内の普及に急ブレーキ

わが国での太陽電池の利用は学校や公共施設などでも拡大しつつあるが、最大の利用先は住宅である。住宅での利用が始まったのは、この15年で、住宅にとっては、きわめて新しい設備だ。普及が始まって日が浅い最大の理由は、その価格にあった。太陽電池の価格は、住宅への普及が始まる以前は1kWあたり数百万円もしていた。1990年代に入って急速に価格の低下が起こり、それとともに急速に普及したわけだ。すなわち、量産効果によって、価格低下を実現したことになる。システム技術研究所(東京都中央区)の槌屋治紀所長の調査によると、累積生産量が2倍になるごとに、コストが18%ずつ低下しているそうだ。

 当初、政府は補助金を支給し、普及を促進する政策を導入した。1994年度からはモニター制度として、導入費用の2分の1相当の補助金(ただし、1kWあたりの上限は90万円)の支給を開始した。支援内容は年を追って変化し、1996年度には、同じく2分の1の補助金だが、その内訳が機器40万円、工事費10万円に低下した。背景には、システムの価格そのものが低下してきたことがある。

 1997年度から1998年度にかけては、補助金額が約3分の1へと引き下げられた。以降、補助金額は徐々に引き下げられ、2002年度には1kWあたり10万円(上限額100万円未満)、 2003年度には9万円/kW、2004年度には4万5000円/kWになり、2005年度の2万円/kWを最後に、ついに補助金制度が廃止された。その理由は、普及が進み、価格も低下したからだと言われている。

 確かに、わが国での太陽電池の普及に、この補助金制度が大きな役割を果たしたことは間違いない。1994年度には全国の住宅でわずか2000kWだった太陽電池の普及が、2005年度には100万kWを超える水準に達していた。

太陽光
■2005年をピークに、普及に陰り
わが国の太陽光発電は順調に普及してきたが、2005年をピークに設置件数・容量とも大きく低下。政府による補助金打ち切りが直接影響を与えたことがわかる(出所:新エネルギー財団)


ところが、補助金を廃止したことが影響し、設置件数は2005年度をピークに減少に転じ、2006年度には対前年度比14%減、2007年度には同32%減と大幅な減少が続いている。そこで、政府は補助金制度を復活することを決定し、2008年度補正予算では1kWあたり7万円の補助金が組まれた。

太陽光
■140万kWを超えた導入量をさらに伸ばすために何が必要か
2007年度までのわが国の累積導入量は146万kWと見込まれている。2008年度に7万円/kWの補助金が復活したが、効果はあがるだろうか?(出所:新エネルギー財団)



地球温暖化問題への関心が導入動機に?

私の研究所では、太陽光発電の実証試験を1997年から手伝っている。この事業は、生活クラブ生協・東京と生活クラブ生協・神奈川が東京電力との連携のもとに、1997年度から「太陽光発電モニター事業」として実施しているものだ(モニター事業は終了したが、会員自身による計測評価が続けられている)。モニター事業では、生活クラブ生協の組合員132世帯を対象に、1997年から2000年まで、発電量や日射量、パネル温度の計測などを実施し、それに基づく評価を行った。

 モニター事業がスタートした1997年は、京都で「気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3、京都会議)」が開催された年でもあり、内外で地球環境保全への関心が高まった年でもあった。そのような時期に、この事業への応募を行ったため、応募者の太陽光発電システム導入の動機が興味深かった。
 システム導入の目的としても最も多かったのが「環境や資源の保全」で、全応募者の96%がこの理由を挙げている。次いで、「太陽光発電システム普及への貢献」が88%であった。モニターの多くの方々は、経済的な収支が合わないことを承知で参加されたようだった。「地球環境を守るために太陽光発電システムの普及が必要である。自分がそのための礎(いしづえ)になりたい」と明言される方もいたことが強く印象に残っている。

 モニターに応募された方々の地球環境問題への関心はきわめて高く、「地球温暖化への関心」が「非常にある」と答えた世帯は66.2%と過半に達していた。これに「ある程度関心がある」世帯を加えると、99.2%と、ほとんどの家庭が「関心がある」と答えたことになる。総理府(当時)の世論調査では、「非常に関心がある」が25.3%、「関心がある」を加えても79.4%だったので、モニター応募者が20ポイントも上回る結果であった。

 パネル設置時に重要視するポイントと、地球温暖化問題への関心度との関係を整理してみると、以下のように分類することができる。

1. 「地球温暖化への関心度」の高い世帯は、システム設置の最大の目的が「環境資源の保全」であり、次いで「太陽光発電の普及」。また、このグル−プでは、「新しいことをしたい」という動機も目立った。
2. 「災害対策のため」パネルを設置した世帯は、太陽光発電システムの「発電量」「保守管理の容易さ」「経済性」に関心が高いという結果であった。
3. 「環境資源の保全のため」という世帯は、夏期の電力不足のことも視野に入れている。
4. 「発電量」を考慮したという世帯は、「電気代」「採算性」に関心が高く、さらに「夏期の電力不足解消」も考慮しているという結果であった。

 この調査の結果については、次回に詳しくご紹介したい。



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[2008/12/06 19:39] URL blogring.org